十三、大企業と中小企業

よく大企業、中小企業と言われますが、実態は多様化し、経営もイメージも変わってきています。
今後もますます規模別の経営結果の差はなくなり、むしろ個別の企業の特徴が注目されることになりそうです。
ともあれ、以下に現状を述べてみましょう。
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(一)会社規模にとらわれる必要はない
大企業と中小企業という区分にも、求職される皆様には大いに興味があることでしょう。それらは定義づけされ、マスコミも盛んに使うので、誰もが気にするのも無理はありません。

しかし、ITが普及して以降、業種や企業の垣根が低くなり、ベンチャー的な形態も多くなるなど、この区分の意味は薄らいできています。有望なベンチャー企業の殆どは、従業員や売上高も少なく、中小企業に属するのが実態です。それに大企業といっても、専門事業の集合体組織であり、一つの組織は中企業程度の規模も多いのです。
むしろ企業の規模にこだわるよりも、自分の適性、能力向上や将来性を重視すべきと考えます。とは言え、現実には規模の区分も存在し、興味もあるでしょうから傾向的比較を示しておきたいと考えます。傾向ですから、企業によって異なるということを認識しておいてください。あくまで参考程度にしていただきたいと思います。

(二)これからの日本企業の動向
企業は、製造業、サービス業、さらにその中にも多様なモノづくりやサービスの形態があります。数百年続く伝統的な企業もあれば、設立から間もないベンチャー企業もあります。短期的に見て年間売上高が急伸している企業もれば、下降している企業もあります。
車の重要な部品を製造している目立たないが、堅実に業績を伸ばしている企業もあれば、大衆に販売するために、大々的に広告を打ちブランド名を浸透させているものの大きな赤字を出している企業もあります。数年前まで業績好調な事業が、現在は他社に吸収併合されているようなケースもあります。

企業業績の浮沈は、必ずしも会社自身の経営の努力ではコントロールできず、世界の経済環境に大きく左右されます。経済環境も業種によって、景気の好し悪しがあり単純ではありません。これからの企業は、この複雑な波に乗って浮沈を繰り返すと考えられ、順風満帆に安定成長することは少ないと考えられます。

このように考えれば、規模や会社名にとらわれて、就職する企業を選ぶ根拠は希薄とも言えるでしょう。日本の企業構造を見ると、九十五%が、中小企業と言われ、その多くが大企業を支えているのが実態です。いわゆる下請けとして支えているのです。
しかしこのような構造は、特に大企業のグローバル化が進むにつれ崩れてつつあります。
大企業には頼れず、中小企業自らが、自社製品や独自サービスを提供する時代に突入しているのです。

現実にはまだ日本の中小企業のグローバル化は、最も遅れています。台湾、香港や韓国の企業は、小規模企業でも、世界を相手に活躍しています。彼らには国内・海外という意識さえ殆どなく、ごく自然にグローバル体質となっているのです。
日本の中小企業は先進の彼らと世界市場、生産、サービスなどでパートナーシップを組むことにより、世界に向けて大いにチャンスが広がると考えます。
優秀な技術や美的感覚、きめ細かさを生かし、世界に打って出る勇気やパワーを期待したいと思います。

(三)傾向的比較
先に述べましたが、傾向的な比較を以下に説明いたします。
大企業は、組織的、規範的に統制される傾向にあり、個人の能力や提案はとかく埋没ししがちです。
これに対し中小企業は、個人の活躍は目に留まりやすく、評価される機会は多いと思われます。

企業の採用部門は、新人には実務部門、いわゆるラインで活躍してもらう、という期待のもとに採用するのが普通です。つまり、営業、設計、生産管理、製造/サービスの現業職場です。
しかし時間軸で考えれば、実務部門で、活躍できるのは、二十年前後が現実です。そのあとは、管理やスタッフなど実務から離れた業務となるのが一般的です。企業は、未来にわたり継続を保つ必要があり、常に人も設備もリフレッシュを繰り返す必要があるためです。
典型的な例では、理科系の人は、製造業、文科系の人は、サービス業、あるいは、営業、総務などのスタッフとして期待されます。しかし、いずれ好むと好まないにかかわらず、実務から離れ、管理的な業務となるのです。
役職も課長クラスとなり、実務の知識だけではなく、営業的、経営数値的、人事的、プロジェクト的な知識も求められるようになります。誰もがその時期になれば、新たな能力への挑戦が必要ということになるのです。

会社に勤務する間に、将来独立し起業を目指すという考えも出てくることもあり得ます。このような自己実現的な考えは、一度きりの人生にはむしろ健全と思われます。就職探しの時にはとてもそのようなことは考えつかないでしょう。
ともかく、実務に携わっているうちに、独立に必要なノウハウや情報を収集するくらいの意気込みが欲しいものです。

近年、中小企業の有効求人倍率は四から五倍前後で推移しています。つまり、一人の求職者に対して、四社以上が人を求めていることになります。大企業は、0.5倍前後であり、求職者にとっては非常に厳しい状況です。
ここ一年前位から企業規模にとらわれず就職活動を行う傾向にあることは、筆者もよい傾向であると考えます。
本書で自身の適性や目標を見出し、エントリーシートや面接で自己アピールできるレベルまで職務内容を研究してほしいと願っています。。

会社では売上向上とか、顧客第一とかシンプルに表現した経営方針があります。これらは従業員の行動指針になっています。社内で様々なルール作成や決断に迷った時には、通常この方針が指針になるのです。経営方針は、規模が小さいほど従業員にとっては、目につきやすく意識の中に入り込むこととなります。会社によっては、朝礼で唱和するくらい尊重されています。

経営者がオーナーであれば、経営方針や通常の業務判断についても、トップダウン型すなわち経営者の意志が強く反映されます。規模が小さく風通しの良い分、若い人の意見を尊重する傾向と言えます。
大企業では、社会的に経営品質ということが問われているので、世界で共通の品質マネージメントシステムを導入しています。トップダウン型に対して、関連メンバーで会社方針をベースに計画・提案等を上申するボトムアップ型が採用されています。

就職できたものの、どのような職場に配置されるのかは、よほどの意思表示をしない限りわかりません。中小企業の場合は採用も少なく、従業員も少ないので自分のやりたい仕事は限られる傾向にあります。一旦その仕事に配置されると、そこで長年同じ業務に従事することになります。
これは必ずしも不利なことではありません。業務の経験や能力は、より高度なものが得られる可能性があるのです。
一方、大企業では採用や組織の人数も多く、採用された側から見れば、業務の選択肢の幅は大きいと言えます。例えばモノの生産工程に興味があるので、配属を希望すれば生産管理部門に配属される可能性は高い傾向にあるといえます。

仕事をする上では、業務の計画、段取り、内容、数値、時間や予算をできるだけ明確にならなければなりません。
大企業では、そのための意思決定プロセスは、組織的に行われ、手段は会議や計画書、稟議書などによります。職場内、営業、経理など多くの組織が関連するので、関係者の意見調整や経営者への説明に時間がかかります。このため小回りが利く中小企業よりは、決断が遅くなる傾向にあります。
中小企業では、経営者の強い意志により、意思決定されることが多いのです。従業員から見ると、必ずしも論理的とは言えなくても、通常その決定に従わなければなりません。経営者はより強く経営の継続意識を持ち、顧客、従業員、他企業の関連、和、絆、義理人情など論理を超える世界を考慮していると推測されます。

仕事を行う上では、人間関係も重要です。中小企業は、どちらかといえば小規模組織で、家族的・長期的な人間関係を築くことができます。大企業では、数年ごとに人事の異動があるため、いずれ職場の人間の多くは変わり、人間関係はやや疎遠ともいえます。一つの案件を解決すためのプロジェクトも大企業では頻繁に構成されます。経験、能力、リーダの資質などを考慮してチームが編成され、淡々と業務が遂行されます。人間的感情は殆ど入るスキはありませんが、悩みやトラブルは職場やチームの仲間でカバーしあうのが原則です。

さて、就職後は定年退職するまで、経済的にも場所的にも安定が期待できるでしょうか?
世界の大企業と言えども、厳しい競争にさらされ、企業分割したり、統合することが、さかんに行われるようになりました。
賃金カットなど経済的被害を被ったり、最悪リストラに遭うなど、必ずしも安定的とは言えなくなってきつつあります。
年金制度や退職金制度、健康保険、住宅などの福利厚生は、規模が小さい中小企業は、資金面で弱みがある傾向にあります。制度も変わるかもしれません。
これからは安泰とはいかないと思われ、自己防衛的な対応が必要と思われます。

企業は事業遂行の立場で、従業員の能力を最大限に引き出すような人事策を常に考えています。したがって、自分がやりたいことと会社の思惑は、必ずしも一致するわけではありません。この傾向は人材が少ない中小企業に強いといえます。
大企業では、適材適所の配置方針のもとで人事異動がなされ、さらには関連企業に出向・移籍となることもあり得ます。海外赴任もあり得ます。その時にはタフな精神力で、新たな場所へプラス思考で臨むことになります。

会社に入ってからの個人的なキャリアアップも期待されます。会社は多様な業務を従業員に効率的に担ってもらうために、個々の能力アップを期待しているのです。具体的には、語学学習、マネージメントの勉強、ITについての知識学習などです。
大企業には、大勢の先輩や同僚の中にスキルの高い人や、キャリアアップの情報・機会がふんだんにあります。勉強しようと思えば時間や費用をサポートしてくれる企業も多いのです。

厳しい就職戦線下では、自身の目標や期待に必ずしも合わない仕事に就くことも止む無きことと思います。そもそも、社会経験・就業経験もないのに、学校での学習や企業情報などで、やりたいこと、自己の適性や目標を定めるのは無理があります。
入社して配属された部門で、たとえ不満があっても、その業務に挑戦し、極めるという意識を持つことはとても重要です。配属直後の仕事ですから、難しいものではないでしょう。協力や指導を受けて、クリヤーしてその先に向けて進みましょう。
二、三年もすれば、かけがいのない戦力となり期待と責任が増すに違いありません。その頃になれば、自ずと他の組織や業界が見えてくる余裕ができます。その時点で、自己の能力を更に伸ばせる分野を見つける方法もあることでしょう。

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