十九、経理部門とはどんな職場?

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経理部門は、会社の運用上きわめて重要な組織です。
お金を扱う部門であり、台湾や香港、中国などの中華圏では、社長を総経理と称するくらいです。
そのことからしてしても、お金管理は社長が自ら行っていたことが推測されます。現在でも経理担当は信頼できる親族という中華系の会社も多いのです。

企業は客先から注文を受け、モノを作ったりサービスを提供して収入を得ます。どの企業でも客先からの注文と同時にお金を支払いしてもらうのは稀なことです。小売商店と違い、企業では製品やサービスを提供して暫く後にお金を払ってもらうことがむしろ普通です。
つまり受注の後、工場は材料を準備し、製造し、客先に納入しても入金までは時間がかかるのです。その時間は数か月かかることもありえます。この間に必要な費用は自社の資金や金融機関からの借金で賄わなければなりません。材料の仕入れ、賃金、更に営業にかかる販売促進費用、月々の通信費、交通費、光熱費、借地代など諸々の出費があるためです。
これらも湯水のごとく使うわけにはいきません。それぞれ当初の年度予算があるので、それを大幅に超えることは資金管理上問題が生じます。

こうした一連の企業活動の予算、収入、諸費用、利益・損失、資金調達、返済、決算、報告などのお金にからむ業務が経理部門の役割となっています。
なお、納入から入金まで時間がかかると言う事実は、企業モラルが問われたり法律違反でもなく、商法上も問題ではないのです。日本でも海外でも同様なことが言えます。お役所の支払時期は月末・年度末であったり、客先はさらに彼らの客先を持っているなど、この支払い期間に関しては複雑な背景があるのです。

経理業務は企業の連結決算化、投資家への報告義務、資金調達、国際経理などから複雑化し、企業規模によっては経理、会計、財務などと部門が別れるようになってきました。これらの垣根や経理の仕組みは、業種や各企業によって異なりますが概ね以下のごときです。

(一)経理
企業は前年度末に決定した年度予算によって生産やサービスの活動を行います。

予算は各部門に配分され、基本的にはその範囲内で業務がなされます。売上げ、入金、利益は営業部門へ、材料費は生産管理、人件費は現業部門や人事勤労部門へといった具合です。
しかし企業活動では客先事情を含め、予算どおりには進まないケースも多く発生します。入金の予定がない時期に、出費が大幅に予算を超えれば、社内にお金が無くなる可能性もあります。
こうしたことがないようにするのは、キャッシュフロー管理と呼ばれます。
一方、材料の値上げ、残業の増加、光熱費用の上昇や設備の修理など予期せぬ出費が増えれば、原価が上昇し利益が減ることにもなります。赤字になるようなことを避けるために、費用が増えた分、どこかの費用を減らす対策も行わねばなりません。原価を抑え、一定の利益を確保することを原価管理と言い、日本企業では重要視されています。
キャシュフロー管理および原価管理上の問題を社内提起し、解決のリード役を行うのも経理の役目と言えます。現在は多くの企業で費用データは、ITシステムの活用によって効率的に得られます。こうした中でもデータの分析、将来の出費は各部門から直近の情報を得るなど、人が絡まなければならないのです。

また、営業部門には客先への見積もりに使用される人件費(時間当たりの工賃)の定期的提示も必要です。積算の要素は給与、社内諸設備、光熱費、輸送費、その他諸経費などです。通常は時間給与の二から三倍と言われますが、高価な設備があればさらに高くなります。見積もりが高ければ受注競争力が低下し、安ければ受注したとしても利益を圧迫する難しい判断となります。
このように経理部門は、予算の配分と調整管理、各部門からの費用の集計把握・対応、客先からの入金把握、見積もり工賃提示等が役割です。

(二) 財務
経理は費用の実態把握と予算との調整・管理役と言えますが、財務は経営トップや外部関連機関への報告の役目を担います。
具体的には社内経理システムの構築、月々の経営トップへの予算遂行状況報告と調整、会計報告のための財務諸表の作成、資金調達計画等です。
これら諸表は経理データをベースに作成されます。報告の形式は商法などに定められておりますが、国際会計制度を採用している企業では、形式が日本とは異なっています。
通常会計報告の資料は、公認会計士に依頼し作成され、社外に公表されます。大きな企業であれば、ホームページで閲覧することができます。

(三) 会計
企業には、先に説明したように、使える資金が潤沢にあるとは限りません。賃金の支払い、光熱費、建物・設備費、借地家賃、材料費など、毎月の出費はかさみます。その多くは、支払いを遅延させるわけにはいきません。
そこで、客先からの入金まで出費をカバーする資金が必要となります。カバーの方法は金融機関からの借金や投資を受けるなどです。多くの企業の実態は、このように所謂自転車操業に近いのです。
このように必要な運用資金確保をし、経営に役立てるのが会計部門の役割です。財務データを分析し、意思決定や業績管理に使用する会計方法は、管理会計と呼ばれ、近年重要さを増し多くの企業で採用されています。

企業は客先から注文を受けてからお金をもらうまでの期間、自社の蓄えによって材料購入や従業員賃金、月々の諸経費の支払いを賄えれば理想的です。しかし、現実には投資を受けたり銀行などの金融機関からの借金により賄うことが必要となるのです。投資や借金であるから配当や利息が生じ、また借金は信用や担保・保証がないと不可能です。金融機関からの借入利息は、一般の預金利息とはけた違いに高いので借入削減の管理が必要です。
従来からの取引や企業経営状態と客先からの注文書を確証として、金融機関と借り入れ交渉を行う例が典型です。金額、借入利息、返済計画などが焦点となります。企業活動は停止することはないので、こうした借入は比較的頻繁に発生します。
借入利息と同様に、投資に対する配当は資金の流出となるので把握が必要となります。

客先からの支払い遅延や、金融機関からの信用問題が原因で、資金が一時的にでも欠乏すれば、以降の材料の購入や供給先への支払い、あげくは従業員への賃金の支払いにまで影響が及びかねません。企業の経営への信頼も著しく低下することになります。
会計部門はこのような事態を事前に回避し、資金確保のためのキャッシュフロー管理の中心を担わねばなりません。
経営にとっては極めて重要な経理業務と言えます。
製品を製造中もしくは納入して後、客先の倒産で入金されない等の事象は、近年増加傾向にあると思われます。そのため客先に対しても、必要により経営状態には気を配る必要があります。具体的には信用調査機関に依頼するなどの方法が採られます。

(四)期待される人物像、自己能力の向上
こうした会計、財務を含む一連の大きな意味での経理業務に携わることにより、企業のお金の流れについて豊富な知識を得ることができます。
業務では社内情報システムにより、ほぼリアルタイムもしくは、数日の遅れで費用の実績を得ることが可能です。そうしたデータを使用し、費用構造の分析(CVP分析)やキャッシュフローの推測、分析を行い必要な対応策を決める必要があります。数値を使用した分析、対応のシミュレーションなど数学的要素も求められる部門です。

経理の仕組みは企業間で規模の違いこそあれ、基本は共通であり、所謂つぶしがきく業務です。
目を広げれば国際的、国内的、金融、投資など、ありとあらゆる領域のお金の流れについてノウハウが得られます。
広い目で業務に精励すれば豊富な知識を得て、資金面での解決能力を高め、信頼や倫理観を養うことが可能です。更には金融筋との人脈の構築もでき絶対的な信用が得られることでしょう。
資格取得では会計士、税理士に必要な基礎・実務知識が得られます。
税理士の多くは企業の経理部門や税務署の出身でもあります。

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