二十六、購買部門はどんな職場?

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製品やサービスに必要な材料や部品を全て社内で作るわけにいきません。専門の外部業者に発注する必要があり、購買部門は発注・購入する役割を担います。
具体的には、製品の製造数量に見合った部材の発注、納期管理、価格管理、供給の安定化管理などを行ないます。

(一)部材発注
製品を構成する材料・部品のリストは開発設計部門で準備されて社内システムに登録されています。これをベースに生産数を乗じ、製造に必要な材料や部品のリストは、生産管理部門または購買部門によって作成されます。作業はIT設備でなされます。
リストには品目や仕様、数量、発注先、価格が記されています。
リストから発注先ごとに注文書が作成され、IT設備によって電子送付されます。
注文書には、発注日、部品材料の品名、数量、価格、納期などが明示されています。企業間の取引であることから、上司の確認や承認が必要です。発注金額が大きな部品材料の発注には、会社幹部の承認が必要となる場合もあります。
注文書を送付後は、必ず受け取りの確認が必要です。通常は受けた側から受領確認の連絡があります。

(二)価格管理
供給先との価格交渉は、初期の段階で行われ決定されます。市場や社会環境により、供給先から価格を見直し依頼が来る場合もあります。世界的な金属や原油の価格変動が原因となる場合も多いので、世界の動向に注意するなど視野を広げておく必要もあります。
供給先に対しては価格低減を定期的あるいは都度要求する場合が多くあります。要求に対し、容易にまとまらない場合は、交渉が長引きます。交渉術を高めるのは、発注品目の適正価格、製造工程、生産性、技術的特長などの豊富な知識です。
供給先への単なる値引き要求よりは、工程改善など真にコストを低減するような合意が望ましく考えます。
例えば歩留まりが悪い工程や難しく時間や手間のかかる作業方法改善などの手段です。供給先からコスト低減の協力を得るには、部品や製造工程まで広い知識を身につけることも求められます。

(三)供給の安定化
発注先には、注文品を継続して安定供給をしてもらわなければなりません。
例えば毎月数千個の繰り返し発注に対して、いつも通り注文の2週間後に確実に問題なく納入してもらなどが例です。設備や人員の不足、気温変動による特需、素材の納期が長いなどの理由で、生産の納期が間に合わないことは発生しがちなことです。
回避のために、購買部門は、発注先に対して、数カ月先の発注計画を知らせる場合もあります。これをフォーキャストと呼んでいます。生産計画の情報は生産計画部門から提供を受けます。このように購買部門は生産管理部門と一体となり、供給先との協力関係の推進も行ないます。

部材供給には、突発的リスクも少ないとは言えません。納期や先行部材の変更、品質問題、経営問題の発生に十分注意し、発注先と情報交換を行うことも求められます。重要部材の発注先には、定期的な訪問や生産会議が設定されているケースも多いのです。
地震や洪水など災害も突発的リスクです。対応策として複数のメーカーで製造可能なようにするマルチベンダー化も購買のリスクマネジメントの一つです。

(四)供給先開拓
新規の部品材料が必要となった場合は、新たな発注先を見つけねばならないこともあります。
このような時は、対象品の仕様書を設計開発部門から入手し、幾つかのメーカに送り見積もりが依頼されます。入手後予算と照合し、通常は最も安価なメーカが選定されます。
選定後は、特に新規のメーカには経営、生産能力、品質の確認が必要です。そのため訪問することも多いのです。経営状態、工場・品質・環境管理体制、納期、取引条件などが確認の内容です。
供給先から納入された部材は、受け入れ検査部門(品質管理部門)で検査され、合格であれば正式納入(検収)となります。支払いはこの日を起算日として、供給先ごとに定められた日(例: 納入日の月の翌月末)までに経理部門から行われます。

日本では注文主と供給先は、伝統的に客先と下請けという差別的とも言える認識が顕著です。客先は下請けの面倒を見るという密な上下関係により、運命共同体的意識が背景にあるためと推測されます。
この考えは海外では大きく異なります。
海外では両者は基本的に対等の立場であり、それぞれが適正な利益を確保するという認識が強いのです。今後は、客先と下請けという認識をできるだけ排除し、フラットな関係を構築することが期待されます。それには中小企業の独り立ちが期待されるところです。
客先と下請けという意識排除に関しては、特に購買部門には高い倫理性が求められます。近年は企業コンプライアンスで、Win-Winを提唱している会社もあり、伝統的位置関係が薄められる傾向となっています。
購買部門は、供給先の経営リスクをにもアンテナを高くする必要があるようです。
特に小規模で後継者、従業員高齢化など問題を抱えている供給先には、踏み込んだ指導がなされることも多いのです。経営やマネージメントの能力を高めておくことが期待されています。

(五)期待される人物像、高められる能力
部品材料の発注、納期・価格管理、安定供給のためには、多くの厳しい交渉も必要です。そのための技術的な情報、経験、人脈の蓄積から、説得力が期待されます。
供給先の経営指導は豊富な知識と経験に基づくものであり、指導力は大いに発揮できるようになります。
この部門も中小企業診断士資格取得への環境として恵まれています。

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